ある図書館の片隅に-司書のつぶやき

某所図書館のカウンター&書庫で地下活動中の管理人のブログ。

図書館司書とお金、雇用の話

司書は多くの場合公務員、もしくは法人職員ということになるので、おおよそ公務労働者と似通った給与体系になっています。

しかし、司書に特有なのが、非常勤職員率の高さです。これに触れずに、司書の雇用環境について語ることはできません。

 

司書は国家資格です(図書館法に定められています)。

指定の単位を修得できる課程を修了しないと取れない資格ですが、甲群(必修)科目と乙群(選択)科目があります。図書館実習は乙群(選択)科目ですので、実習を受けずでも資格を取ることができます(まあ、これも問題だという意見もあるのですが)。

このため、たとえば単位+実習+国家試験の合格が必要な社会福祉士や、単位+実習が必須の学芸員よりも、資格取得の難易度は低いということができます。

 

とはいえ専門職ですから、お給料もさぞかし良いのでは……と思う人が少なくないのですが、残念ながら多くの司書は非正規雇用の状況になっています。

正規雇用…つまり、ほぼ最低賃金で、時給制であり、期末勤勉手当もないということです。

 

しばらく前の記事ですが、東洋経済ONLINEの「都道府県別「図書館司書」の非正規雇用」という記事が話題になっていました。今でも閲覧することができます。

都道府県別「図書館司書」の非正規雇用

正規雇用の職員の率は、すでに6割を上回っているのです。

一時期、「非正規という言葉を一掃」と言ってのけた総理大臣がいらっしゃいましたが、言葉だけを一掃したところで、現実はついてくるのか?というと、疑問に思わざるを得ません。

gendainoriron.jp

 

正規雇用の公務員は、かつて「官製ワーキングプア」という言葉が一世を風靡したことで表面化しました。しかし、政治、行政の側が当事者の声に耳を傾けているとはいいがたい状況です。

中央政府は毎年のように財政赤字と言われるということもあり、人件費を増やす方向に圧力がかからないというのは致し方ないのかもしれません。とはいえ、一人でも多くの非正規職員を正規雇用に、と願わざるを得ません。

 

司書職制度を持つ自治体すら多くない状況。専門職たるゆえんは? その中で正規雇用の職員として何ができるのか? と、改めて考えている今日この頃です。